ドンスコイ

優性遺伝の無毛の猫ドンスコイ

ドンスコイは1987年に、ロシアのある都市で偶然に見つけられました。
見つけた女性は、毛を持たない特異な外見に惚れ込んで本格的に繁殖を進め、数年後には、まったくの新品種として認定されるのです。
登録機関によって、登録名が「ドン・スフィンクス」または「ドンスコイ」の名称で登録されており、同じ猫種に対して2つの名称が存在している状況にあります。
「ドン・スフィンクス」の「ドン」とは最初の猫が見つけられた場所の近くの川の名前で、「スフィンクス」は同様に無毛種の猫「スフィンクス」のことで、これを合成して付けられました。
スフィンクスとドンスコイの大きな違いは、毛が無い体質の遺伝子がスフィンクスは劣性遺伝なため出現率が低いのに対して、ドンスコイの場合は優性遺伝であるため出現率が高いことです。

神秘的な無毛の猫

日本では無毛の猫は、あまりいませんので希少種です。
無毛なため、ボディラインがハッキリわかり神秘的な外見で、皮膚は弾力があり、頭頂部、耳の間に入る皺が特徴的です。
2.5~4kg程度のやや小型の体は筋肉質で、パッチリと大きくアーモンド形の眼と大きな耳も印象的です。
冬季には胸部と尻尾の先に毛が生え、暖かくなると同時に抜け落ちる変わった体質を有し、皮膚には汗腺を持ち、汗もかきます。

社交的で好奇心旺盛なドンスコイ

ドンスコイの性格は、社交的で温厚、また、飼い主に従順で知的能力も高いため、上手に躾をすれば言葉による指示に従うこともできます。
温厚で人見知りをしないため、家族や他のペットとも上手に付き合います。
活動的で好奇心が強く遊び好きな反面、さびしがりやな面もあり、一人で留守番するのが苦手です。
ですので、飼い主が常に在宅の家庭や多頭飼いに向いています。

他の猫種よりも必要なケアが多い

ドンスコイは他の猫種と異なり毛が無いため、汗と同時に分泌された脂が体の表面に付いたままです。
そのため体の表面が汚れやすいので、温かい濡れタオルを絞って体を拭いてあげることが必要です。
また、紫外線に弱いため、天候によっては外出の際にペット用の日焼け止めクリームやウェアが必須です。

無毛の体なので、紫外線の影響を大きく受けてしまいます。
特に冬季は抵抗力も落ちるため、日常の健康管理が長寿の秘訣です。
気をつけてあげなければいけないのは「皮膚病」です。
体には汚れが付き易く、日焼けもし易いです。

特に紫外線量の多い春から秋にかけては、日焼け止めクリームやウェアを有効に利用してください。
できるだけ、不用意な外出は控えるようにさせることが大切です。
冬季の寒さにも注意しなくてはいけません。
胸部と尻尾の先に被毛は少し生えてきますが、たいして体温維持の役には立ちませんので、様子を見ながら部屋の温度管理に留意が必要です。

ミヌエット

犬の繁殖家が作り出した猫「ミヌエット」

ミヌエットは、従来は「ナポレオン」の名称が与えられていましたが、2015年になって名前を改められました。
歴史は新しく、最初に作出されたのは20世紀終わりのことです。
作出したのは猫ではなく短足犬を愛する犬の繁殖家でした。

この繁殖家は米国の新聞記事で、足の短い特色を持つ猫マンチカンが、足が長く生まれると捨てられて、動物保護センターで保護されている事実を知りショックを受けます。
そして、「人の要望に反した容姿で生まれたため捨てられる」ことは許されないと考え、短足猫の固定化にチャレンジしたのです。
まず、マンチカンとペルシャを交雑させたのち、ヒマラヤンなどのペルシャ系の長毛猫種との交配などの改良や研究が行われた結果、ミヌエットが誕生したのです。

ミヌエットは血統登録機関で予備登録は受けたものの、理想のミヌエットは作出できず、最初のブリーダーはミヌエット育種計画を断念します。
しかし、他のミヌエットの繁殖家が後を引き継ぎ、現在でも正式認定を目指して世界中で育種が進んでいます。

まだまだ固定した猫種と言い難い面があり、血統登録機関によってはミヌエットを猫種として認定していない団体も多いのが実情です。
そのため、キャットショーに展示される機会も少なく目にする機会が少ないことから、日本での認知度は低く希少種です。

ガッチリした体形だが小型のミヌエット

丸みを帯びた体型に短い手足でモコモコの毛並み、骨格はガッチリして、先端が丸くなった耳は小さく、首はふと短く、丸い頭です。
ペルシャのように豪華で豊かな被毛とマンチカンのかわいく短い脚を、贅沢にもうまく引き継いでいますね。
短足で毛がフワフワなこともあり、カラダ全体が丸みを帯びた印象を与えます。
毛の長さはロングとショートの2タイプがあり、毛色のバリエーションも多く、標準的な成猫の体重は2~4kg程度の、小型の猫です。

甘えん坊でマイペースなミヌエット

性格は、ペルシャの性質を引き継ぎ、甘えん坊で従順です。
また、マンチカンの性質も受け継ぎ、好奇心も旺盛です。
おもちゃで遊ぶだけでなく、他のペットにも興味を示し、元気一杯に遊びます。
ただ、少しマイペースなのでストレスを与えぬよう、必要以上に構うことのないよう、一定の距離感も大切にしましょう。

ミヌエットの上手な飼い方

ミヌエットは、体は小さいのですがとても筋肉質ですので、運動量が確保できるスペースを整えたり、普段からバランスのとれた質と量の食事管理に気を付けないとすぐに肥満になる傾向があります。
上り下りの運動はエネルギ―の消費も多く、この動きもうまく取り入れるようタワーを用意することは役に立ちます。
大柄な猫ではないためそれ程安定感のあるタワーにこだわる必要はありません。
日常の毛の手入れは、短毛であれば日に1度、長毛であれば日に2回程度が目安です。

ブリティッシュロングヘア

たまたま生まれたロングヘアを基礎に近年作出

ローマ時代までさかのぼる長い歴史を持つブリティッシュショートヘアも20世紀半ばの第2次世界大戦の時代には絶滅の危機を迎えます。
その後、20世紀後半になってブリティッシュショートヘアの猫種確立と個体数復活を目指して交雑による育種を進める過程で、ペルシャの血が入っていたこともあり、短毛の個体だけでなく、図らずもしばしばロングヘアが生まれます。
その理由で、ブリティッシュショートヘアの固定化には月日を要してします。

残念なことに、たまたま誕生したロングヘアは、ショートヘアの失敗猫として着目されることはほとんどありませんでした。
しかし、20世紀終盤になってやっと注目されるようになります。
1900年代初頭に人気を博したペルシャやアンゴラの風貌を彷彿とさせる容姿から、ロングヘアを独立した猫種とすることが提案されたのです。

21世紀になってようやく、キャットショーへの出場資格が与えられる猫種として認定されました。
こうして、ブリティッシュロングヘアも晴れて表舞台に登場するスタートに立てたのです。
現在、オランダやアメリカでは「ローランダー」という名称で、欧州では「ブリタニカ」という名称で呼ばれて、一定の人気を博しています。

長毛以外はブリティッシュショートヘア譲り

ブリティッシュロングヘアはブリティッシュショートヘア同様に、骨格がガッシリして、筋肉質な体躯です。
ガッチリした体形に加えて長い毛が、より体を大きく見せています。
その他、ふと短い足、ふと短い首、大きく丸い目、丸みを帯びた頬は、ショートヘアそっくりですが、長毛な分、より丸顔に見えます。
被毛のカラーは、ブラック、ホワイト、レッド、ブルー、チョコレートとバリエーションが豊富です。
外見上は長毛である点だけがショートヘアと大きく異なるのですが、長毛が与える影響は大きく、まるでぬいぐるみのような別種の猫に見えます。

飼う際に知っておきたい点

ショートヘア同様に比較的手間のかからない猫種です。
ただ、長毛種であるため、毎日の簡単なコーミングなど体毛のケアは必要です。
長毛種の中では、毛の指通りが滑らかで、毛がからみにくいという特徴があることから、1日1回の軽いくしどおしで十分です。

ブリティッシュロングヘアの性格は、温厚でのんびりとして穏やかで人懐っこい猫です。
自立心も持っており、人懐っこい割には一人にされても寂しがらず、飼い主や他の猫が不在でも一人でゴロゴロ転がったりして楽しく遊んで過ごせるので手間もかかりません。
ただ、手間がかからないからといってほったらかしにすると、ストレスを貯め込んでしまうので注意してください。

ブリティッシュショートヘア

祖先はローマ時代にさかのぼる

英国原産のブリティッシュショートヘアの祖先は古く、紀元200年頃、ローマが英国を侵略した時代までさかのぼります。
そのとき農業が英国に取り入れられたのですが、倉庫の農作物をネズミから守るハンターとして猫を連れて来た際の子孫という説が有力です。
連れてきた猫はエジプト由来の短毛猫との説もありますが定かではありません。
時代が流れ、19世紀頃の英国では、ハンターとして優れた自国産の猫種を作ることに熱心なブリーダーが増え、交雑による育種が進められます。

19世紀半ば過ぎには初めてのブリティッシュショートヘアがキャットショーで各賞を総なめにするほどの人気を博します。
その後も育種が続けられ、20世紀に入ると品種のスタンダードが確立されるのです。

別名やニックネームも持った異色の猫

その時代にはこの猫は「ブリティッシュブルー」と呼ばれていました。
理由は、この時代はシルバーブルー色が好評で、キャットショーに出展されたブリティッシュショートヘアも青っぽい色のみだった事によります。
20世紀前半から半ばには、第一次及び第二次世界大戦の影響もあり、人気が落ちていきます。
しかし、1980年頃になるとブリーダーの努力で大型の体型から中型へ改良が進み、再度人気が復活するのです。

この猫は、17世紀に欧州の移民が米国へ向かうときに、ともに渡ったと伝えられ、アメリカンショートヘアの基礎猫とされるほど両種の外見は似ています。

ところが、人懐っこいアメリカンショートヘアと比べるとブリティッシュショートヘアは神経質なところがあり、気難し屋な面を持ちます。
その性格と、風格のある振る舞いのため、英国内では「猫界のウィンストン・チャーチル(英国の首相でありノーベル賞作家)」と称されたりします。
このことからも、英国では最も古い猫として、イギリスの誇りとされていることが分かります。

また、英国の作家キャロルの童話「不思議の国のアリス」に出てくる神出鬼没な猫「チェシャ猫」のモチーフともいわれ本当に現地では親しみを持たれているようですね。

ガッチリした短めの足を持ち丸顔で中型の猫

やや短めの足ですが、体形も足もガッチリとしていて、ふと短い尻尾が特徴です。
また、頬や口先が丸く、目も丸く両目は離れ気味、耳は小さく離れ気味、鼻は短め、首が太いので顔全体が真ん丸に見える角度があります。

気を付けてあげる疾病と予防法

猫の血液型はA型が大勢を占めますが、ブリティッシュショートヘアは珍しく、全体の5割以上がB型です。
そのため、治療のために輸血を要する時や、出産等の際は注意が必要となります。

猫は異なる血液型の輸血に敏感で耐性が弱く、輸血のショックで死に至ることさえあります。
また、母猫と子猫の血液型が違うだけでも、死産の場合もあるのです。
万一のとき慌てずに済むように、血液型を知っておく必要があります。

バーミラ

バーミーズとチンチラの間で誕生

英国の女性繁殖家の飼う雄のチンチラペルシャが、繁殖家の意に反して雌のバーミーズと交雑してしまいます。
ところが、生まれた子猫達が素晴らしいシルバー色の毛を有していたため、ブリーダーたちの関心を惹きつけ、計画的な交配による育種が始められます。
その結果、作り出されたのがバーミラです。

バーミーズとチンチラの交配によって生まれた猫種のグループは総称してエイジアンと呼ばれました。
このエイジアングループは、毛のカラー別にバーミラ、スモークなど4タイプに分類されます。
バーミラの名前は、育種を始めた女性やブリーダーたちの発案で、バーミーズの「バーム」にチンチラの「イラ」を合成して付けられたものです。

珍しい少数派の猫種ですが、日本における知名度も少しずつではありますが上昇傾向にあります。

スレンダーで筋肉質な中型猫

筋肉質でスラリと四肢が細くスマートな体形で、尻尾は長くストレート、中型猫ですが筋肉質な体形は短毛と相まって外見よりもずっしりとしています。
また、バーミラは毛先の半分近くが地の毛色と違う濃色系のシェイデッドです。
特に、顔は短毛であるため目元にまるで「マスカラ」を付けたように、濃色が眼を囲んでいるかのように見えます。
シェーテッドの毛は、バーミラ特有の最も特徴的なものといえます。

温厚で知的で人懐っこいバーミラ

バーミーズとチンチラの性格を強く引き継いでおり、バーミーズの甘えたがり屋な人懐っこさと、チンチラの穏やかな性格が特徴的です。
両種の性格を程よくミックスして引き継いでいるので、個体差はあるものの、基本的にむやみに甘えることは少なく適度な距離感をもって接してくれます。
知的能力が高く、しつけも手間がかからず、初めて猫を飼う方にもバーミラは飼いやすい部類に入ります。

気を付けてあげるべき疾病と予防法

バーミラは、基礎猫とされたチンチラペルシャから遺伝的に、「多発性のう胞腎」という疾病にかかりやすい体質を受け継いでしまいました。
この「多発性のう胞腎」という疾患は腎臓に小さな水泡ができる疾病で、腎機能の低下が起こり、放っておくと、やがて慢性腎不全に至ります。

現在のところ、この病に対しては有効な治療法が見つかっておらず、早期に発見し、投薬や食事管理で進行を遅らせる以外には治療方法がありません。
水分の多飲で多尿な症状やいつもに比べ元気がない様子が続いたら、躊躇なく、早期に病院を受診するよう心掛けてください。

また、バーミラ特有ではありませんが、一般的な遺伝的疾患として、角膜炎や結膜炎等の目の病気や、歯周病、アレルギーなどに注意する必要があります。
日頃から目や歯、皮膚などを十分観察してあげることが大切です。
そのため、ブラッシングや歯磨きなどを抵抗なく受け入れてくれるよう、子猫時代から慣らしておくことがポイントです。